品質月間テキスト

457顧客価値創造に貢献できる現場力の育成と強化
コト価値の発生が求める現場力

猪原 正守氏
大阪電気通信大学名誉教授
魅力的な顧客価値を創造し続けることのできる企業や組織であるためには、 保有している経営資源(人、物、金,情報)を戦略目的達成に向けて統合 することのできる能力と、目的達成に必要な新技術・技能・仕組みの開発 を行うことのできる能力の育成・強化が必要となる。それらの能力は組織 能力というフレーズで語られることもあるが、その組織能力は経営トップ、 ミドルマネジメント、技術者・スタッフおよび職場第一線におけるすべて の部門や人々が顧客満足度向上や品質保証を目的とした日常活動を通じて 育成・強化されると考える。
以上の意味で、顧客価値創造を実現するためには、そうした日常活動を 通じて組織や個々人の能力を蓄積・改善・革新できる現場力が必須要件と なる 本書では、そうした観点から経営トップから職場第一線までのあら ゆる人々の現場力を育成・強化するための方法の提案することを意図して いる。

458オティックスにおけるTQM推進と改善風土の醸成

小田井 勇樹氏
株式会社オティックス 代表取締役社長
当社における改善活動は、「スタッフ・職制改善活動」、「QCサークル活動」、「OT改善シート制度」を3本柱とし、現場における数々の問題を解決してきました。この3本柱が、経営基盤を支える原動力となっています。その改善活動の強化施策を打ち出し、しぶとい改善風土の醸成を図ってきました。本テキストでは、その改善活動強化策を中心に当社におけるTQM推進活動を紹介します。

459DX時代のサービス(QSC)品質向上にむけたすかいらーくの取組み

中島 尚志氏
株式会社すかいらーくレストランツ 代表取締役社長
神田 誠氏
株式会社すかいらーくホールディングス 内部監査室
2019年から拡大したコロナ禍が、外食作業に与えた影響は甚大なものです。
すかいらーくグループでも、この難局を乗り越えるため、デジタル化を強力に推し進めております。
デジタル化は、従業員の作業負担の軽減に役立ちましたが、同時に、お客様のご要望にも変化をもたらし、デジタルに不案内な方や接客応対に親しみを持つ方などからのご不満が増えてきました。
お寄せいただいたクレーム情報は、集約分類して傾向を分析し、原因に応じた対策を順次実施しておりますが、この対策プロセスにもデジタルを活用して、関連部門を巻き込んだ根本対策や、きめ細やかな従業員教育やコミュニケーションにより、確実な運用に繋げました。
直近の効果として、普段より多くなりがちなゴールデンウイークのクレーム数が減少したり、お褒めが増加したりなど、着実な成果が見られました。
引き続き、喜びと感動に繋がるエクセレントサービスへの昇華を目指します。
エクセレントサービスを提供する組織能力を定めた“サービスエクセレンス規格”は、得てして「高価格・高品質の業容に適用するもの」と認識され勝ちですが、本テキストでは、すかいらーくグループが提供する「リーズナブルなレストラン業態における当該規格の適用・実装」を目指した姿勢や取り組みをご紹介いたします。
この事例が、皆様の品質向上活動の一助となりましたら幸いです。

460DX時代における品質管理

川村 大伸氏
名古屋工業大学 社会工学専攻 経営システム分野 准教授
川上 尚紀氏
三菱重工業株式会社 民間機セグメント 品質保証部 計画課 主席チーム統括
桒野 敏宏氏
三菱重工業株式会社 民間機セグメント 品質保証部 計画課 主席技師
本著は2部構成となっており、DX時代における品質管理の視座を提供するものである。
第1部は、日本品質管理学会中部支部の産学連携研究会で議論したDXに関するトピックを紹介しながら、TQMに携わる人間の視点で提言を行う。また、第一著者が産学官連携研究で携わった事例も紹介する。第2部は、具体的事例として三菱重工業株式会社より、民間航空機製造における品質保証業務の概要と品質管理・品質保証に対するDXの取り組み事例について紹介する。

461品質管理活動におけるリスクマネジメントの活用

野口 和彦氏
横浜国立大学 リスク共生社会創造センター客員教授
事業における品質に関する活動の重要性に関しては、十分に認知されていると考えられるが、その活動の要点は整理されているとは言いがたい状況である。
現代の品質管理活動は、経営と現場の総合力が必要であることは、周知の事実であるが、その仕組みには、幾つかの課題がある。
本テキストでは、品質管理の課題と対応の要点をリスクマネジメントの考え方を通して整理し、品質管理活動の高度化に資する事を目的としている。

462攻略「ことばのデータ」ことばのデータの活用ポイント「よ~く考える」

猿渡 直樹氏
NSMコイルセンター株式会社 安全品質本部 副本部長
QCサークル関東支部 QCサークル千葉地区 顧問
情報を活用する為には、「ことばのデータ」を「よ~く考える」ことが大事です。情報の根幹をなす「ことば」をデータとして捉え、その真偽や内容を「よ~く考える」ことが重要になります。そうすると、“達成目標を決め、ことばの「抽象度」の上げ下げで自分の殻を破り、やるべきことを決めて行動を起こす”ということが容易となり、情報も活かされます。本編では「ことばのデータ」と「よ~く考える」のふたつを主題といたします。

463変化の時代に、品質管理の現場で求められる「心理的安全性」
心理的柔軟なリーダーシップがつくる

原田 将嗣氏
株式会社ZENTech シニアコンサルタント
変化の激しいVUCAの時代に、必要とされるのは、チームの力の総量を最大化することです。メンバー一人ひとりが持っている生の情報・気づきを速やかにチームで共有し、しなやかにチームにとって役に立つ行動に変えていくこと。そのために、チームの心理的安全性を高めることが大切です。そしてチームの心理的安全性を高めるためには、個々の心のしなやかさ、心理的柔軟なリーダーシップが求められます。日本版心理的安全性4つの因子を解説し、あなたのチームの心理的安全性を高めるヒントをお伝えします。