テーマ主旨

 近年、日本の産業界では人手不足の解消やコストダウンに向けて労働生産性の向上が叫ばれています。この労働生産性は一人の従業員が労働時間当たりにどれだけの付加価値を生み出しているかをはかる指標です。日本の労働生産性の水準(2010~2012年平均)は、製造業で米国の7割、サービス産業で5割といわれています。産業競争力の強化のためにも低い労働生産性の改善が大きな課題となっています。

 労働生産性の向上のためにはまず、従業員が従事する業務プロセスを革新する必要があります。すなわち自動化、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)による高度な解析など、最新のICT(情報通信技術)を駆使した、省人化・省時間化を狙う高効率のプロセスの構築が期待されています。このような無駄を徹底的に省いたプロセスは『スマートプロセス』と呼ばれ、スマートプロセスで従業員が仕事の標準を遵守し、従業員間の共創により、改善・革新を進める、高い『現場力』により、昨年から数多く発覚した品質不正を払拭し、日本の製造業の信頼を回復しなければなりません。

 一方、労働生産性の向上には付加価値も高めなければなりません。そのためには顧客に満足や感動を与える価値づくりが重要です。このようなプロセスの効率化と高付加価値化は品質経営が当初から『プロセス重視』を基本原則とし、志向してきました。品質経営の推進により世界のべンチマークとなるようなスマートプロセスを構築し、現場力向上と価値づくりを実現しましょう。
第59回品質月間委員会
委員長 長田 洋
東京工業大学名誉教授