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第60回記念 品質月間 第60回品質月間テーマ みんなでつくるつなぐお客様の笑顔

品質月間60回を迎えて

一般財団法人日本科学技術連盟 理事長
佐々木眞一
1960年、日本で品質月間が誕生しました。日本で本格的に品質管理が導入されだしてから満10年の記念すべき年に、QCサークル生みの親としても知られる石川馨先生(当時、東京大学教授)を中心に、「貿易自由化には品質管理で」のスローガンの下、迫りくる貿易自由化の波に対応するため、産業界だけでなく一般消費者にも品質に対する関心を持ってもらい生産者と消費者の両面から品質意識向上をはかるべく、「品質月間委員会」を発足させ、11月を品質月間と定めました。

誕生から60年、日本の産業界の発展と共に歩んできた品質月間の諸活動により、先人たちの知恵と工夫は品質管理に溶け込み、広く様々な業種や中小企業にまで浸透し、品質立国日本を支えてきたことは大変に意義のあるものと考えております。品質月間が意義深いことは、欧米諸国をはじめ国連でもWorld Quality Dayとして品質に関する意識向上活動を11月に行っていることからも明らかでしょう。

品質月間の目的は、「品質管理を全国的に推進し、わが国産業の合理化と発展に寄与する」ことです。昨今のようにグローバル化やIT化が進み、経済環境や社会環境が目まぐるしく変化しても、品質管理の考え方には変わりはありません。
品質管理活動の原点は、お客様のために、お客様第一・品質第一の重要性を一人ひとりが考え、全員参加で継続して、管理・改善することにあります。
石川先生は「品質管理活動はゴールのないマラソン競争のようなもので、絶えざる努力の連続であろう。」と述べられています。
この言葉に代表されるように、これからも品質月間をわが国産業界の品質意識の向上にとって欠くことのできない活動にしていかなければならないと考えております。

60回を節目に、これまで歩んできた品質月間を振り返りつつ、多くの職場でQ旗が掲げられ、企業・組織のみならず消費者を含めてより多くの人が品質意識を再認識することで、愚直に品質管理活動が取り組まれ、これからも持続・発展することを願っております。

品質月間60周年に寄せて

一般財団法人日本規格協会 理事長
揖斐敏夫
1960年に東京大学教授の石川馨先生の働きかけにより始まった品質月間も本年で60回という節目を迎えました。人間で言えば還暦ということになります。

開始当時の品質月間の標語には、「バラツキ退治で笑顔のお客」とあり、本年のテーマは、「みんなでつくる つなぐ お客様の笑顔」と、奇しくも共に「お客様の笑顔」が取り上げられていることを見ても、60周年である本年が活動の原点に立ち戻るべき年であることを示しているように感じます。

一方、標準化に目を向けると、産業標準化法の改正により、新たにサービス分野がJISの対象となり、国際的にもISO/TC 312(エクセレンス・イン・サービス)において、サービスを提供する組織能力に関する標準化が議論されるなど、サービスが大きなトピックとなっていますが、こちらもやはり「お客様の笑顔」の達成が一つの重要課題となっています。

当会では、ISO/TC 312の国内審議団体としての活動をはじめ、サービスの品質確保を目的として開発された民間規格第1号であるJSA-S 1018(温度管理保冷配送サービス-輸送過程での積替えを伴う保冷荷物の陸送に関する要求事項)や、国際提案を見据え、サービスのQ(品質)の実装に資する分野別規格開発プロセスの推奨事項をまとめた規格であるJSA-S 1002(エクセレントサービスのための規格開発の指針)の開発・発行、さらには日本のサービス標準化について様々な関係者が検討する場である「サービス標準化フォーラム」の開催など、顧客価値創造の観点において品質管理活動とサービスの標準化活動が不離一体のものと捉え、積極的に活動しているところです。

品質月間はいうまでもなく品質管理を始めとした品質の改善・向上に取り組むための行事ですが、この名称は、それが消費者、つまりお客様も一緒になって行う活動であることから、「管理」の字を取ってできたという経緯があります。

60周年のこの機会に「お客様の笑顔」を念頭に今一度「全員参加」の意味を見つめなおし、この行事が大還暦(120年)のさらなる未来へと続くよう主催機関の一つとして尽力していく次第です。
第60回品質月間委員会